エアグルーヴ

Air Groove

厩戸 ひとつ前の画面を参照するにはブラウザの「戻る」ボタンを押して下さい
[競走成績] [実績] [血統表]

エアグルーヴの画像
著作権
1993/4/6生 
牝  鹿毛
父:トニービン 母:ダイナカール (by ノーザンテースト)
生産者:早来・社台ファーム(JPN)
馬主:(株)ラッキーフィールド
調教師:伊藤雄二(栗東)

・中央所属時成績
三歳時 4戦 2勝
四歳時 3戦 2勝 優駿牝馬
五歳時 5戦 3勝 天皇賞・秋
六歳時 7戦 2勝
中央通算 19戦 9勝
全通算 19戦 9勝

[解 説]
 エアグルーヴは1993年早来社台ファームにて生まれた。父トニービンはアイルランド産で通算27戦15勝。1988年イタリア馬として久々に凱旋門賞を勝ち全欧古馬チャンピオンに輝いている。その後ジャパンカップを5着し、社台ファームにて種牡馬生活に入る。産駒成績は特に1993年が素晴らしく、この年だけでダービー馬ウィニングチケット、桜花賞とオークスを勝ったベガ、マイル二冠のノースフライトがいる。その後サンデーサイレンスの出現で勢いが止まるが、2000年ジャングルポケットがダービー、ジャパンカップを制した。全体的に強烈な決め脚を持つ馬が多く、東京コースで良績を残す馬が多い。2000年惜しまれながら死去した。母ダイナカールは1983年ゴール前大激戦となったオークスを制した名牝。エアグルーヴは4番仔であり、下には2002年のクラシックで話題になったモノポライザーがいる。その父ノーザンテーストは社台ファームが導入したカナダ産のノーザンダンサー産駒で、日本の生産界にノーザンダンサー血脈を持ち込み画期的な成功を収めた。ダイナカールの母シャダイフェザーの父ガーサントは社台ファームが日本のトップブリーダーに台頭するきっかけとなった馬で、天皇賞馬ニットエイトなどを出している。社台ファームを支えた種牡馬を背景に生まれたオークス馬ダイナカール。これに当時社台最高の種牡馬トニービンを配したエアグルーヴはまさに「社台の結晶」と言える。
 ラッキーフィールドの持ち馬として、牝馬に実績のある栗東・伊藤雄二に入厩した。ちなみに伊藤師は生まれ落ちた直後のエアグルーヴを見て、この馬は走ると直感したという。1995年7月札幌での新馬戦は武豊を鞍上に堂々の1番人気。初戦は2着であったが2戦目で勝ちあがった。続いて東京1600mのいちょう特別を不利を受けながらも勝って、阪神三歳牝馬ステークスに駒を進めた。M.キネーンを鞍上に3番人気であった。逃げるビワハイジを捕らえることができず2着に敗れた。
 四歳は3月のチューリップ賞から始動。ここをビワハイジを5馬身ちぎって雪辱、幸先良いスタートを切った。しかし桜花賞直前に熱発し、やむなく回避。しかしファンはエアグルーヴが四歳牝馬最強とみなしていた。1番人気で迎えられたオークスは桜花賞馬ファイトガリバーの追い込みをかわし、見事に母仔2代のオークス制覇を果たした。これは1943年のクリフジと1954年のヤマイチ以来である。秋はぶっつけで秋華賞に出走。1番人気に支持されていたが、パドックでのファンのフラッシュに焦れ込み、全然能力を発揮しないままファビラスラフィンの10着に惨敗した。さらにレース中に骨折し長期休養を余儀なくされた。
 復帰は翌1997年五歳6月の牝馬限定G3マーメイドステークスだった。1番人気に支持されこれを勝利で飾ると、伊藤師はエアグルーヴの今後のレースについて思案した。確実性を考えれば牝馬限定のG1エリザベス女王杯を狙うのが妥当である。しかし伊藤師はエアグルーヴには牡馬相手でも互角に戦える実力があるのではないか、と考えはじめた。エアグルーヴは8月の札幌記念に出走した。札幌の芝はクッションが利いて脚元に負担がかからず、また天皇賞と同じ2000mでしかもG2に格上げされて斤量が55キロですむこと、そして出走予定していた皐月賞馬ジェニュインなど実績馬を相手に力関係を把握するのに絶好の機会と考えたからであった。結果は1番人気に支持され完勝。陣営は天皇賞に挑むことを決意した。
 天皇賞・秋には札幌記念から直行で挑んだ。前走の勝ちっぷりから見て1番人気になっても不思議ではなかったが、ここには強敵が待ち構えていた。前年四歳馬にして天皇賞に勝ったバブルガムフェローである。バブルも前走の毎日王冠を快勝し絶好調であった。結局1番人気はバブル、エアグルーヴは2番人気であった。しかし差は僅かであった。鞍上の武豊騎手は敵はバブルガムフェローだけと考えていた。これはバブルガムフェローの岡部騎手も同じであった。違っていたのは岡部騎手は人気を背負っていた分早めに動かざるを得なかった点であった。武豊騎手はバブルをマークして追い出すのをできるだけ我慢、長い競り合いの後、食い下がるバブルを力でねじ伏せて、見事に牝馬による天皇賞制覇をなしとげた。近年に牝馬による天皇賞を勝ったトウメイにしてもプリティキャストにしても人気薄で展開に恵まれた感は否めない。しかしエアグルーヴの場合は前年の天皇賞馬に競り勝ったものだけに、これらより数段上の評価をしなければならないだろう。
 続くジャパンカップはバブルガムフェローに次ぐ2番人気で挑んだ。最後の直線でバブルは脱落し、パドックの馬っ気でやや評価を下げていたイギリスのピルサドスキーが抜け出した。しかしエアグルーヴが必死に食い下がりクビ差の2着に食い込んだのである。ヨーロッパ現役最強馬と評価され、過去来日した馬の中でも最高位の実力馬であるピルサドスキーに差のない競馬をしたのは大健闘といえた。有馬記念ではさすがに疲労の色濃くシルクジャスティスの3着に惜敗した。天皇賞を含む秋の安定した成績が認められて牝馬として1971年のトウメイ以来の年度代表馬に選ばれた。
 エアグルーヴの素晴らしいのは六歳になっても現役を続け、比類ない結果を残したことである。初戦の大阪杯を勝ち、鳴尾記念は不良馬場に脚をとられそれでも2着。春の目標宝塚記念はサイレンススズカの差のない3着。札幌記念は斤量58キロをもろともせずに連覇した。秋はエリザベス女王杯から始動。牝馬同士なら負けまいと1番人気であった。しかしジャパンカップは中1週で挑まねばならないために、仕上げに余裕があった。その間隙をつかれメジロドーベルの3着に敗れた。陣営は落胆することなくジャパンカップに挑んだ。ここでもエルコンドルパサーの2着に健闘した。ジャパンカップを2年連続で2着した馬は過去に例がなく、まして牝馬によるものは絶後となるかもしれない。引退レースは有馬記念。鞍上には武豊が帰ってきた。2年連続ファン投票1位での出走で2番人気に支持された。結果はグラスワンダーの5着。前年と同様疲労が蓄積していたこともあろうが、レース中に落鉄していたのである。それでも5着。もう戦う理由はなかった。。
 翌年、京都競馬場で引退式。ここでも直線の全力疾走を披露し、女傑ぶりをファンに見せつけ、故郷の社台ファームに帰っていった。牡馬でも天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念を皆勤することは少数派である。そんな風潮の中、エアグルーヴは牝馬でしかも1着、2着、3着という素晴らしい成績を残したことは高く評価するべきである。消長の激しい牝馬の場合、ほとんどのオークス馬はその後の成績は芳しくなく、五歳になってマイルG1などを得た馬にしても、それ以降となるとやはり成績は落ちる。しかしエアグルーヴは六歳にもG1勝ちこそなかったものの着外ゼロという女傑ぶりを発揮したのである。繁殖馬となってからの活躍も素晴らしく、サンデーサイレンスとの初仔のアドマイヤグルーヴが、2003年と2004年のエリザベス女王杯を連覇した。さらに2番仔イントゥザグルーヴ、3番仔サムライハートも新馬勝ちした。エアグルーヴの物語はまだまだ続くことになるだろう。
2003年1月5日筆
2004年2月28日加筆
2004年11月26日加筆

日付 競馬場 競走名 距離 馬場 頭数 人気 着順 時計 騎手 斤量 馬体重 1着馬(2着馬)
1995/7/8 札幌 新馬 1200 9 1 2 1:12.1 武豊 53 460 マイネルランサム
1995/7/30 札幌 新馬 1200 7 1 1 1:12.0 武豊 53 458 (ダイワテキサス)
1995/10/29 東京 いちょうステークス 1600 11 1 1 1:35.8 武豊 53 458 (マウンテンストーン)
1995/12/3 阪神 阪神三歳牝馬ステークス(G1) 1600 11 3 2 1:35.4 M.キネーン 53 456 ビワハイジ
1996/3/2 阪神 チューリップ賞(G3) 1600 14 2 1 1:34.2 O.ペリエ 54 452 (ビワハイジ)
1996/5/26 東京 優駿牝馬(G1) 2400 18 1 1 2:29.1 武豊 55 460 (ファイトガリバー)
1996/10/20 京都 秋華賞(G1) 2000 18 1 10 1:59.8 武豊 55 470 ファビラスラフイン
1997/6/22 阪神 マーメイドステークス(G3) 2000 13 1 1 2:02.6 武豊 56 476 (シングライクトーク)
1997/8/17 札幌 札幌記念(G2) 2000 13 1 1 2:00.2 武豊 55 470 (エリモシック)
1997/10/26 東京 天皇賞・秋(G1) 2000 16 2 1 1:59.0 武豊 56 478 (バブルガムフェロー)
1997/11/23 東京 ジャパンカップ(国際G1) 2400 14 2 2 2:25.8 武豊 55 472 ピルサドスキー
1997/12/21 中山 有馬記念(G1) 2500 16 2 3 2:34.9 O.ペリエ 55 470 シルクジャスティス
1998/4/5 阪神 大阪杯(G2) 2000 9 1 1 2:01.3 武豊 57 470 (メジロドーベル)
1998/6/21 阪神 鳴尾記念(G2) 2000 14 1 2 2:04.1 武豊 57 470 サンライズフラッグ
1998/7/12 阪神 宝塚記念(G1) 2200 13 3 3 2:12.1 武豊 56 476 サイレンススズカ
1998/8/23 札幌 札幌記念(G2) 2000 12 1 1 1:59.5 武豊 58 474 (サイレントハンター)
1998/11/15 京都 エリザベス女王杯(G1) 2200 14 1 3 2:13.1 横山典弘 56 478 メジロドーベル
1998/11/29 東京 ジャパンカップ(国際G1) 2400 15 2 2 2:26.3 横山典弘 55 472 エルコンドルパサー
1998/12/27 中山 有馬記念(G1) 2500 16 2 5 2:32.9 武豊 54 468 グラスワンダー

距離別実績
距離区分 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
1400m未満 Sprint 21101.000
1400〜1900m未満 Mile 32101.000
1900〜2200m未満 Intermediate 75100.857 1997天皇賞・秋
2200〜2800m未満 Long 71230.429 1996優駿牝馬
2800m以上 Extended 0.000
芝コース通算199530.737 

競馬場別実績
競馬場 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
札幌43101.000
中山20010.000
京都20010.000
東京53201.000 1996優駿牝馬 1997天皇賞・秋
阪神63210.833
通算199530.737 

5代血統表
トニービン
Tony Bin
1983 鹿
カンパラ Kalamoun ゼダーン Grey Sovereign
Vareta
Khairunissa Prince Bio
Palariva
State Pension オンリーフォアライフ Chanteur
Life Sentence
Lorelei Prince Chevalier
Rock Goddess
Severn Bridge Hornbeam Hyperion Gainsborough
Selene
Thicket Nasrullah
Thorn Wood
Priddy Fair Preciptic Precipitation
Artistic
Campanette Fair Trial
Calluna
ダイナカール
1980 鹿
ノーザンテースト Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Lady Victoria Victoria Park Chop Chop
Victoriana
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
シャダイフェザー ガーサント Bubbles La Farina
Spring Cleaning
Montagnana Brantome
Mauretania
パロクサイド Never Say Die Nasrullah
Singing Grass
Feather Ball Big Game
Sweet Cygnet


検索エンジン等でこのページをご覧になられた方は、「厩戸」をクリックして「ご利用にあたって」をお読み下さい。
リンクはトップページのみで、このページを含む個々のページへのリンクは禁止します。

Copyright (C) 2000 Umayado Oji
inserted by FC2 system