ダイワメジャー成績
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2001/4/8生 
牡  栗毛
父:サンデーサイレンス 母:スカーレットブーケ (by ノーザンテースト)
生産者:千歳・社台ファーム(JPN)
馬主:大和商事(株)、大城敬三氏
調教師:上原博之(美浦)

・中央所属時成績
2 歳時 1戦 0勝
3 歳時 7戦 2勝 皐月賞
4 歳時 5戦 1勝
5 歳時 8戦 4勝 天皇賞・秋 マイルチャンピオンシップ
6 歳時 7戦 2勝 安田記念 マイルチャンピオンシップ
中央通算 28戦 9勝
全通算 28戦 9勝
[解 説]当HPでは漢数字の馬齢は旧年齢表記、算用数字の馬齢は満年齢表記
 ダイワメジャーは2001年千歳・社台ファームで生まれた。父サンデーサイレンスは1986年アメリカ産馬。ケンタッキーダービーを含む14戦9勝の申し分ない実績で、引退後すぐ社台ファームによって日本に輸入された。我が国競馬史上最高の成績を収めた輸入種牡馬で、6頭のダービー馬をはじめ数多くのG1馬の父となった。母スカーレットブーケは京都牝馬特別、中山牝馬Sの重賞勝ちを含む通算21戦6勝。イソノルーブルシスタートウショウなどが出走し、史上稀に見るハイレベルと評された1991年の桜花賞の出走馬で、スカーレットブーケは3番人気に支持され、4着であった。しかしスカーレットブーケは同期馬を遥かに凌駕する繁殖成績を残した。1番仔のスカーレットメールはチューリップ賞でメジロドーベルに先着する2着。5番仔のダイワルージュは桜花賞でテイエムオーシャンの3着に入線した。ダイワメジャーは7番仔で、10番仔はアグネスタキオンを父とするダイワスカーレットで桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯を勝ち、さらにダイワメジャー引退の翌年の有馬記念を逃げ切り勝ちを演じることになる。母スカーレットブーケの父ノーザンテーストは社台ファームが輸入したノーザンダンサー直仔の種牡馬で、アンバーシャダイギャロップダイナシャダイアイバーなど、今日の社台ファーム隆盛のきっかけとなる大成功を収めた。ダイワルージュは大きな馬格を持って生まれ、牧場の同期馬の大将格になった。増長するダイワメジャーは、なかなか人間のいうことを聞かなかった。ゲート練習など10人がかりでやっと入ったと思ったら、今度は扉が開いても出ようとしなかった。教えたことを覚える頭脳はあったが、若い頃は我がままぶり全開だったのである。
 ダイワメジャーは千葉近郊でパチンコ店などを経営する在日朝鮮人の大城敬三氏を代表とする大和商事の所有となり、美浦の上原博之厩舎に入厩した。そして2歳となる2003年12月28日、中山の新馬戦に出走した。血統背景から1番人気に支持された。この日の中山は有馬記念が開催されていて、多くのファンがパドックを囲んでいた。これに我がままなくせに神経質なダイワメジャーは過敏に反応し、ついにパドック周回中に座り込んでしまった。返し馬もまともにできる状態ではなかったが、どうにか2着に入り自力があるところを見せた。
 2004年3歳となったダイワメジャーは1月17日、菊沢隆徳騎手を鞍上に中山のダートの未勝利戦に出走。2着馬に9馬身差をつけて圧勝した。続いて平場の条件戦は途中で失速して4着であった。続いて重賞のスプリングステークスに出走。関係者に高い素質を認められながらも、粗暴なところを見せたかと思うと、下痢や皮膚病を発症する神経質さを覗かせ、11番人気と低評価だった。しかし改善される気配のないそんな気性のせいでふらつきながらも、これを3着し皐月賞の優先出走権を得た。
 第64回皐月賞は良馬場中山競馬場で開催された。1番人気はホッカイドウ競馬に所属したまま中央競馬に出走するコスモバルグであった。ダイワメジャーはいまだダートの1勝馬のみで、10番人気と低評価なのは仕方がなかった。この日のダイワメジャーは経験値が上がったのか、デムーロ騎手に乗り替わったせいか落ち着いていた。平均ペースで逃げるメイショウボーラーの2番手に追走し、一気にペースの上がった3コーナーで先頭に立つと、デムーロ騎手に手綱をしごかれ、中団に構えていたコスモバルクに1馬身1/4差をつけて優勝した。終わってみれば素質馬が勝った、と一言で済んでしまうことであるが、あれほど手こずらせていた気性難が大一番で改善されたことに関係者は驚かされた。
 ダイワメジャーはダービーに駒を進めた。ここはハイペースで流れとなり、先行していたダイワメジャーは苦しい展開となった。NHKマイルカップを勝ち上がってきたキングカメハメハの6着に敗れた。
 3歳秋は天皇賞を目指し、柴田善臣騎手でオールカマーに出走した。いつものように先行していたが、直線で失速し殿り負け。天皇賞・秋も5番手から後退し最下位に敗れた。ダイワメジャーは喘鳴症、いわゆるノド鳴りを発症していた。関係者は手術を決意し、しばらくの休養に入った。
 4歳となった2005年4月に病から復帰した。まだ微かにノド鳴りは続いているが、上原師は競走を使いながら治していくことにした。ダービー卿CTは久々で掛かりながらも、後続を突き放し、皐月賞以来の勝利を掴んだ。安田記念は8着と敗れたが、横山典弘騎手に乗り替わった夏の新潟の関屋記念で2着、毎日王冠は5着。ルメール騎手に乗り替わったマイルチャンピオンシップは勝ったハットトリックをハナの差まで追いつめる2着に健闘した。かつてタニノムーティエを引退に追い込んだ喘鳴症から立ち直り、マイル路線で着実に実績を積み上げていった。
 5歳となった2006年はデムーロ騎手の手に戻り、中山記念から始動。1800mが得意で道悪も巧みだったバランスオブゲームの逃げ切りを許し2着。続くマイラーズカップは安藤勝己騎手を背にスローな流れを自ら動いて主導権を奪い、桜花賞馬ダンスインザムードを下して1着。2番人気と期待された安田記念は1番枠から飛び出したものの、前の馬が壁になり4着に敗れた。続く宝塚記念はあのディープインパクトの末脚にどうすることもできず敗退。ちなみにダイワメジャーは4枠4番4番人気で4着。しかも鞍上は安藤騎手が騎乗停止のため四位騎手に乗り替わっていて、4づくしであった。目標としていた競走には勝てなかったものの、相手に関わらず着順は安定し、状態が上向いているのは明白であった。
 5歳秋は毎日王冠から始動した。鞍上は安藤勝己騎手に委ねられた。直線で一旦交わされたダンスインザムードを差し返す驚異的な粘りを発揮して1着。本格化はもう目の前であった。
 第134回天皇賞・秋は晴れ良馬場の東京競馬場で開催された。出走を仄めかせていたディープインパクトは結局出走せず、ダイワメジャーにとってはやや組みしやすい相手となった。1番人気は京都大賞典を勝ち上がった牝馬スイープトウショウ、以下3歳馬アドマイヤムーンダンスインザムードと続いた。ダイワメジャーは4番人気であったが、上位人気馬と支持率においてさほどの差はなかった。14番枠から飛び出したダイワメジャーは2番手に身を置き、鞍上の安藤勝巳は直線手前からスパートした。後方から迫ってきた人気上位馬を振り払い、内で粘っていたスイフトカレントを半馬身退けて優勝。皐月賞以来の大きな勝利であった。
 続く第23回マイルチャンピオンシップは小雨良馬場の京都競馬場で開催された。天皇賞より弱体化した出走馬はダイワメジャーの敵ではなかった。ダンスインザムードにクビの差まで迫られたものの、先行して早めのスパートし、直線でさらに突き放し、そして小差で勝つダイワメジャー得意のパターンでG1を連勝した。
 5歳最後は有馬記念に出走した。これはあのディープインパクトの引退レースで、彼のワンマンショーとなったわけだが、必ずしも得意な距離でないレースに3着したことに彼の気性の成長と自力の強さを認めるべきだろう。ダイワメジャーは最優秀短距離馬に選ばれた。
 6歳となったダイワメジャーは、中東に海外遠征し、ドバイデューティーフリー(G1)が初戦であった。かつては環境の変化に弱く、体調不良に陥っていたものだが、そのようなこともなく、アドマイヤムーンの3着に頑張った。帰国後は安田記念に向けて調整した。
 第57回安田記念は晴れ良馬場の東京競馬場で開催された。高松宮記念を制していたスズカフェニックスに続く2番人気に支持された。安藤騎手は内ラチ沿いのコースを選び、先行しながらもいつもより遅い仕掛けで挑んだ。逃げるコンゴウリキシオーを残り100mで捕らえ、クビの差退けた。サンデーサイレンス産駒が初めて安田記念を制した。
 続く宝塚記念は、スタートがうまく行かず、中団からの競馬となったことで、ダイワメジャーは走る気をなくしたのか12着と惨敗した。  6歳秋は毎日王冠から始動。久々で59キロの斤量が応えたのか3着に敗れた。続く天皇賞・秋は安藤騎手が慎重になり過ぎ中団前目からの競馬となり、直線で内からぶつけられる不利もあって9着に敗れた。
 第24回マイルチャンピオンシップは曇り良馬場の京都競馬場で開催された。安藤騎手が前走の反省から積極的に競馬を進めた。ローエングリーン、フサイチリシャールなど先行力のあるライバルを差し置いて先頭に立ち、道中3番手に下げたものの、完全に自分のペース。直線半ばで先頭に立つと、外から追い込んできたスーパーホーネットを完封した。
 引退レースとなった有馬記念は、安藤騎手がダイワメジャーの妹であるダイワスカーレットを選び、ダイワメジャーには久々にデムーロ騎手が手綱を取ることになった。ダイワスカーレットはここまで桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯に勝ちしかも2着以下がなく、苦労性の兄と異なり利発な女馬で、距離も融通の利く上に、兄以上の先行力を持っていた。ダイワメジャーのデムーロ騎手は兄妹での喧嘩は避けたいという意図から、控える競馬を選んだ。しかしこれはダイワメジャーのパターンではなかった。結果は伏兵馬マツリダゴッホが勝ち、ダイワスカーレットは2着、ダイワメジャーは3着だった。兄妹1、2着独占とはならなかったものの、それに近い結果で引退を飾った。
 有馬記念当日に引退式を挙行したダイワメジャーは、2年連続最優秀短距離馬に選ばれ、社台スタリオンセンターで種牡馬生活に入った。初年度の種付け料は500万円。総額18億円のシンジケートは引退前から満口となっていた。優秀な血統背景と、種牡馬として成功する条件であるマイルと中距離の強さを評価されたのだろう。1600mが安田記念と2回のマイルチャンピオンシップ、2000mが皐月賞と天皇賞・秋。これだけの勲章を胸に種牡馬入りする馬はそうは多くない。初年度産駒からカレンブラックヒルがNHKマイルカップを勝ち、次年度産駒からコパノリチャードが高松宮記念を勝った。さらにメジャーエンブレムが阪神ジュベナイルフィリーズとNHKマイルカップを勝ち、アドマイヤマーズが朝日杯フューチュリティステークス、NHKマイルカップ、香港マイルを制した。父と同じく短距離から中距離を守備範囲とする産駒が多く、スピードと根性を確実に伝えている。パドックで座り込んでしまうほど神経質で、喉鳴りまで患った馬が5つのG1を制した。負けた数も多いが、先行してねじ伏せる自分のパターンに持ち込んだときの強さは特筆ものであった。しかし圧倒的な強さを見せつけなかったのと、同期のキングカメハメハと1年下のディープインパクトには歯が立たなかったことから、同時代の面々に比べると地味な印象を与えてしまっているダイワメジャー。けれども、このダイワメジャーの現役生活を振り返ってみると、生来の体質や精神力の弱さを経験と鍛錬で克服していったことがわかる。自らの短所を自分の長所で補う。ダイワメジャーは釈迦の教えでもある「正しく努力する」を実践したサラブレッドである。
2015/02/11筆
2022年4月2日加筆
競走成績
日付 競馬場 競走名 距離 馬場 頭数 人気 着順 時計 騎手 斤量 馬体重 1着馬(2着馬)
2 2003/12/28 中山 新馬 1600 12 1 2 1:36.9 菊沢隆徳 55 546 モンスターロード
3 2004/1/17 中山 未勝利 ダ1800 16 1 1 1:56.4 菊沢隆徳 56 546 (フサイチバルドル)
2004/2/29 中山 500万下 ダ1800 16 1 4 1:57.0 菊沢隆徳 56 536 フルオブファイト
2004/3/21 中山 スプリングステークス(G2) 1800 16 11 3 1:48.5 菊沢隆徳 56 532 ブラックタイド
2004/4/18 中山 皐月賞(G1) 2000 18 10 1 1:58.6 M.デムーロ 57 528 (コスモバルク)
2004/5/30 東京 東京優駿(G1) 2400 18 4 6 2:24.3 M.デムーロ 57 536 キングカメハメハ
2004/9/26 中山 オールカマー(G2) 2200 9 2 9 2:15.0 柴田善臣 56 520 トーセンダンディ
2004/10/31 東京 天皇賞・秋(G1) 2000 17 12 17 2:02.9 柴田善臣 56 520 ゼンノロブロイ
4 2005/4/3 中山 ダービー卿チャレンジトロフィー(G3) 1600 16 3 1 1:32.3 柴田善臣 57.5 520 (チアズメッセージ)
2005/6/5 東京 安田記念【GI】 1600 18 2 8 1:32.8 柴田善臣 58 528 アサクサデンエン
2005/7/31 新潟 関屋記念(G3) 1600 18 1 2 1:32.4 横山典弘 57 528 サイドワインダー
2005/10/9 東京 毎日王冠【GII】 1800 17 1 5 1:47.0 横山典弘 58 520 サンライズペガサス
2005/11/20 京都 マイルチャンピオンシップ【GI】 1600 17 4 2 1:32.1 C.ルメール 57 524 ハットトリック
5 2006/2/26 中山 中山記念(G2) 1800 12 1 2 1:49.7 M.デムーロ 58 534 バランスオブゲーム
2006/4/15 阪神 マイラーズカップ【GII】 1600 11 1 1 1:36.2 安藤勝己 58 530 (ダンスインザムード)
2006/6/4 東京 安田記念【GI】 1600 18 2 4 1:33.1 安藤勝己 58 534 ブリッシュラック
2006/6/25 京都 宝塚記念【GI】 2200 13 4 4 2:14.1 四位洋文 58 532 ディープインパクト
2006/10/8 東京 毎日王冠【GII】 1800 16 3 1 1:45.5 安藤勝己 58 526 (ダンスインザムード)
2006/10/29 東京 天皇賞・秋【GI】 2000 16 4 1 1:58.8 安藤勝己 58 528 (スウィフトカレント)
2006/11/19 京都 マイルチャンピオンシップ【GI】 1600 18 1 1 1:32.7 安藤勝己 57 526 (ダンスインザムード)
2006/12/24 中山 有馬記念【GI】 2500 14 3 3 2:32.5 安藤勝己 57 532 ディープインパクト
6 2007/3/31 Nad Al Sheba
(UAE)
ドバイデューティーフリー【GI】 1777 16 --- 3 --- 安藤勝己 57 --- アドマイヤムーンAdmire Moon
2007/6/3 東京 安田記念【GI】 1600 18 2 1 1:32.3 安藤勝己 58 532 (コンゴウリキシオー)
2007/6/24 阪神 宝塚記念【GI】 2200 18 5 12 2:15.8 安藤勝己 58 516 アドマイヤムーン
2007/10/7 東京 毎日王冠【GII】 1800 14 1 3 1:44.5 安藤勝己 59 528 チョウサン
2007/10/28 東京 天皇賞・秋【GI】 2000 16 3 9 1:59.3 安藤勝己 58 530 メイショウサムソン
2007/11/18 京都 マイルチャンピオンシップ【GI】 1600 18 1 1 1:32.7 安藤勝己 57 528 (スーパーホーネット)
2007/12/23 中山 有馬記念【GI】 2500 15 6 3 2:34.2 M.デムーロ 57 538 マツリダゴッホ
距離別実績
距離区分 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
1400m未満 0.000
1400〜1900m未満 166430.625 2006マイルチャンピオンシップ 2007安田記念 2007マイルチャンピオンシップ
ダート1400〜1900m未満 21000.500
1900〜2200m未満 42000.500 2004皐月賞 2006天皇賞・秋
2200〜2800m未満 60020.000
2800m以上 0.000
芝コース通算268450.462 
ダートコース通算21000.500 
競馬場別実績
競馬場 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
Nad Al Sheba(UAE)10010.000
京都42100.750 2006マイルチャンピオンシップ 2007マイルチャンピオンシップ
中山103230.500 2004皐月賞
阪神21000.500
東京103010.300 2006天皇賞・秋 2007安田記念
新潟10101.000
通算289450.464 

5代血統表
サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿
Halo Hail to Reason Turn-to Royal Charger
Source Sucree
Nothirdchance Blue Swords
Galla Colors
Cosmah Cosmic Bomb Pharamond
Banish Fear
Almahmoud Mahmoud
Arbitrator
Wishing Well Understanding Promised Land Palestinian
Mahmoudess
Pretty Ways Stymie
Pretty Jo
Mountain Flower Montparnasse Gulf Stream
Mignon
Edelweiss Hillary
Dowager
スカーレットブーケ
1988 栗
ノーザンテースト Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Lady Victoria Victoria Park Chop Chop
Victoriana
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
スカーレットインク Crimson Satan Spy Song Balladier
Mata Hari
Papila Requiebro
Papalona
Consentida Beau Max Bull Lea
Bee Mac
La Menina Royal Charger
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