キングヘイロー成績
キングヘイローの画像
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1995/4/28生 2019/3/19没
牡  鹿毛
父:ダンシングブレーヴ 母:グッバイヘイロー (by Halo)
生産者:新冠・協和牧場(JPN)
馬主:浅川吉男氏
調教師:坂口正大(栗東)

・中央所属時成績
三歳時 4戦 3勝
四歳時 7戦 0勝
五歳時 8戦 2勝
六歳時 8戦 1勝 高松宮記念
中央通算 27戦 6勝
全通算 27戦 6勝
[解 説]当Web siteでは漢数字の馬齢は旧年齢表記、算用数字の馬齢は満年齢表記
 キングヘイローは1995年4月28日、新冠の協和牧場にて生まれた。父ダンシングブレーヴDancing Braveは1983年米国産馬で通算10戦8勝。英国ダービーこそ2着だったが、2000ギニー、エクリプスS、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、凱旋門賞を制した。10馬身差をぶっちぎって勝ったり、信じられない位置から驚異的な脚を繰り出したりして、現役時代は1985年から2年間だったにも関わらず、引退後すぐに80年代最強と評された歴史的な名馬である。四歳で引退したあと、高額のシンジケートが組まれて種牡馬生活が始まったものの、不治の病とされるマリー病に疾患してしまった。初年度の産駒もほとんど走らなかったことから、見切りをつけられて1991年日本中央競馬会に売却された。その後、欧州に残した産駒の中から、コマンダーインチーフやホワイトマズルなど活躍馬が出て、欧州では早すぎた見切りを後悔した。日本にやってきたダンシングブレーヴは関係者の努力により、数は少ないながらも最晩年まで産駒を出し続けた。代表産駒としてはこのキングヘイローの他にエリザベス女王杯のエリモシック、桜花賞馬キョウエイマーチ、桜花賞と秋華賞を勝ったテイエムオーシャンなどを輩出した。母グッバイヘイローは1985年米国産馬で通算24戦11勝。ケンタッキーオークスなどGI競走を7勝した名牝である。引退直後の繁殖牝馬セールで210万ドルで落札され、日本にやってきた。10頭の産駒を残したが、重賞を勝ったのは4番仔のキングヘイローだけだ。母の父ヘイローは日本で大成功した種牡馬サンデーサイレンスの父として名高いが、それは晩年の産駒であって、それ以前にすでにアメリカで種牡馬として成功していて、産駒の一頭デビィルズバッグは日本の歴史的マイラーであるタイキシャトルを輩出している。
 キングヘイローは協和牧場のオーナーでもある浅川吉男氏の持ち馬として栗東・坂口正大厩舎に入厩した。ちなみに浅川氏は困窮した牧場の経営を引き継いだのちに馬主になったという珍しい経緯を持つ。初出走の10月京都の新馬戦は福永祐一騎手で挑んだ。当初は武豊騎手が騎乗予定であったが、有力馬とかぶったために断りの電話している時に、たまたま電話口にいた駆け出しの福永騎手に振ったという。この新馬戦と条件特別を勝つと東京スポーツ杯三歳Sに1番人気で出走、マイネルラヴを下しレコードで初重賞勝ちをした。ラジオたんぱ杯三歳Sも1番人気に支持されたが、ロードアックスの2着に敗れた。とはいえ上々の成績で三歳を終えた。
 1998年四歳となったキングヘイローはクラシック路線に進路を定め、まず弥生賞に出走した。1番人気に支持されたものの、のちに超大物になるスペシャルウィークに屈し3着に敗れた。つづく皐月賞もセイウンスカイを捉えることができず2着に惜敗した。ダービーは2番人気に支持されたが、ダービー初騎乗となる福永騎手の緊張が手綱に伝わったか、予期せぬ先行する展開となり14着とよもやの大敗となった。
 四歳秋は神戸新聞杯を岡部騎乗で挑み3着。京都新聞杯は福永騎手に手綱が戻ったがスペシャルウィークの2着。スペシャルウィークセイウンスカイに続く3番人気で挑んだ菊花賞はセイウンスカイの軽快な逃げを許す5着と、結局クラシック路線はそれなりに力を示したもののセイウンスカイ、スペシャルウイークに先着できず、三歳の輝きは消え失せたかに思えた。古馬初対決となる有馬記念は10番人気まで落ちたが、歴戦の古馬相手にグラスワンダーの6着に頑張った。しかしながら期待された四歳は未勝利に終わった。
 1999年五歳となったキングヘイローは短中距離路線に狙いを定めた。柴田善臣騎手を鞍上に2月1600mの東京新聞杯(GIII)と3月1800mの中山記念(GII)を1番人気で連勝。いよいよ本領発揮かと思わせたところで、安田記念をエアジハードの11着、宝塚記念をグラスワンダーの8着と期待を大きく裏切った。
 五歳秋になってもキングヘイローは毎日王冠をグラスワンダーの5着、天皇賞・秋はスペシャルウィークの7着と期待を裏切り続けた。しかし福永騎手に手綱が戻った11月のマイルCSはエアジアードの2着、12月のスプリンターズSはブラックホークの3着と人気を上回る着順で評価を持ち直した。

 2000年六歳となったキングヘイローはダートGIのフェブラリーSに柴田善臣騎手の騎乗で出走した。しかし砂をかぶって嫌気が差したのか、ウイングアローの13着と1番人気の期待に応えられなかった。陣営はダート路線は諦めて芝の短距離GI高松宮記念に矛先を向けた。
 第30回高松宮記念は曇・良馬場の中京競馬場で開催された。この年から高松宮記念はオークス1週前の5月から桜花賞1週前の3月に開催時期が移動した。人気は3頭の外国産馬でいずれも短距離実績があった。1番人気のアグネスワールドは日本のGIは未勝利だったものの、フランスの1000mGIを勝っている天才馬。2番人気のブラックホークは前年のスプリンターズSの覇者。3番人気のマイネルラヴは前々年のスプリンターズSで日本史上最強マイラーといえるタイキシャトルを下す金星をあげた馬だ。いずれもキングヘイローに先着したことのある相手であり、キングヘイローは4番人気にとどまっていた。スタートすると鞍上の柴田騎手は上位人気の難敵を見るように、芝の状態のいい外に進路を定めた。そして直線で矢が放たれたように伸びて、アグネスワールド以下をまとめて差し切り、粘っていたかつての主戦福永が乗るデヴァインライトにクビの差をつけて悲願のGI制覇を成し遂げた。その確定を告げた時、検量室で坂口師はまるで不肖の息子が一等賞を獲ったかのように顔面を崩した。
 その後は5月の京王杯SCを11着と大敗。安田記念は3着と地力を見せたものの、秋はスワンステークスを12着、マイルCSは7着といいところなく敗れた。この年から年末のスプリンターズSは10月に開催日が移動していて、マイルCSを終えると短距離馬の大レースは国内になかった。キングヘイローは引退レースとして有馬記念に出走した。9番人気と評価は低かったが、後方から追い込んでテイエムオペラオーの4着と頑張った。まるで不本意な短距離ばかり走らされた鬱憤を晴らしているかのようであった。
 引退したキングヘイローは2001年より優駿スタリオンステーションで種牡馬生活に入った。良血統馬の割りに手頃な種付け料とあって、繁殖馬に恵まれ、ゴウゴウキリシマがシンザン記念を勝って産駒初重賞を得ると、カワカミプリンセスがオークス、秋華賞の二冠を達成した。そしてローレルゲレイロが高松宮記念を制して、親仔制覇を達成した。G1馬はこの2頭のみだが、毎年のように重賞勝ち馬を輩出し、中堅種牡馬として活躍した。母の父としてはスプリンターズSを勝ったピクシーナイト、有馬記念2着のディープボンドなどの活躍馬がいてこちらも成功している。キングヘイローは繁殖馬としての能力のほうが勝っていたといえるだろう。2019年3月19日、長く暮らした優駿スタリオンステーションで老衰のため永眠した。
 どんな距離でもそこそこ対応できるが、気温の高い夏場は苦手らしく、冬場に好成績をあげる傾向にあった。また斤量負けするタイプで58キロ以上を背負うとことごとく負けていた。高松宮記念を勝ったのも、距離適正というよりも、まだ寒さの残る季節で57キロで出走できたことが大きかったように思える。産駒はローレルゲレイロのような短距離馬から、カワカミプリンセスのような中長距離馬まで幅広い対応距離を示した。ただ自身と同じく首の高い走法の産駒が多く、走力がうまく伝わらず、善戦すれど結果が出ない、相撲でいえば「なまくら四つ」のような感じだった。人間社会でも自分の希望した仕事に就いてそれを全うできる人は少ない。人生のいくつかの場面で不本意な仕事しながらも、どうにか頑張った経験があることだろう。キングヘイローの戦績を眺めると、何が得意なのかつかみどころがなく、期待させては裏切るの連続ではあったが、苦労を重ねながら、やっと居場所を得たような、人生の縮図を感ぜずにはいられない。
2022年3月12日筆
競走成績
日付 競馬場 競走名 距離 馬場 頭数 人気 着順 時計 騎手 斤量 馬体重 1着馬(2着馬)
1997/10/5 京都 新馬 1600 15 2 1 1:37.0 福永祐一 53 470 (アドマイヤディオス)
1997/10/25 京都 黄菊賞 1800 13 3 1 1:48.8 福永祐一 53 476 (コウエイテンカイチ)
1997/11/15 東京 東京スポーツ杯三歳ステークス(G3) 1800 12 1 1 R1:48.0 福永祐一 54 472 (マイネルラヴ)
1997/12/20 阪神 ラジオたんぱ杯三歳ステークス(G3) 2000 14 1 2 2:04.0 福永祐一 54 486 ロードアックス
1998/3/8 中山 弥生賞(G2) 2000 13 1 3 2:02.6 福永祐一 55 482 スペシャルウィーク
1998/4/19 中山 皐月賞(G1) 2000 18 3 2 2:01.4 福永祐一 57 476 セイウンスカイ
1998/6/7 東京 東京優駿(G1) 2400 18 2 14 2:28.4 福永祐一 57 470 スペシャルウィーク
1998/9/20 阪神 神戸新聞杯(G2) 2000 14 1 3 2:02.2 岡部幸雄 56 482 カネトシガバナー
1998/10/18 京都 京都新聞杯(G2) 2200 16 2 2 2:15.1 福永祐一 57 480 スペシャルウィーク
1998/11/8 京都 菊花賞(G1) 3000 18 3 5 3:03.9 福永祐一 57 482 セイウンスカイ
1998/12/27 中山 有馬記念(G1) 2500 16 10 6 2:32.9 福永祐一 55 482 グラスワンダー
1999/2/7 東京 東京新聞杯(G3) 1600 16 1 1 1:33.5 柴田善臣 57 484 (ケイワンバイキング)
1999/3/14 中山 中山記念(G2) 1800 12 1 1 1:47.5 柴田善臣 57 476 (ダイワテキサス)
1999/6/13 東京 安田記念(G1) 1600 14 2 11 1:35.1 柴田善臣 58 486 エアジハード
1999/7/11 阪神 宝塚記念(G1) 2200 12 5 8 2:14.6 柴田善臣 58 470 グラスワンダー
1999/10/10 東京 毎日王冠(G2) 1800 10 2 5 1:46.2 横山典弘 58 478 グラスワンダー
1999/10/31 東京 天皇賞・秋(G1) 2000 17 9 7 1:58.6 柴田善臣 58 486 スペシャルウィーク
1999/11/21 京都 マイルチャンピオンシップ(G1) 1600 18 4 2 1:33.0 福永祐一 57 484 エアジハード
1999/12/19 中山 スプリンターズステークス(G1) 1200 16 4 3 1:08.4 福永祐一 57 494 ブラックホーク
2000/2/20 東京 フェブラリーステークス(G1) ダ1600 16 1 13 1:37.2 柴田善臣 57 494 ウイングアロー
2000/3/26 中京 高松宮記念(G1) 1200 17 4 1 1:08.6 柴田善臣 57 490 (ディヴァインライト)
2000/5/14 東京 京王杯スプリングカップ(G2) 1400 18 3 11 1:22.0 柴田善臣 59 490 スティンガー
2000/6/4 東京 安田記念(G1) 1600 18 3 3 1:34.1 福永祐一 58 490 フェアリーキングプローンFairy King Prawn
2000/10/1 中山 スプリンターズステークス(G1) 1200 16 6 7 1:09.6 柴田善臣 57 490 ダイタクヤマト
2000/10/28 京都 スワンステークス(G2) 1400 18 3 12 1:21.5 柴田善臣 59 494 ダイタクヤマト
2000/11/19 京都 マイルチャンピオンシップ(G1) 1600 18 5 7 1:33.2 柴田善臣 57 494 アグネスデジタル
2000/12/24 中山 有馬記念(G1) 2500 16 9 4 2:34.3 柴田善臣 56 488 テイエムオペラオー
距離別実績
距離区分 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
1400m未満 31010.333 2000高松宮記念
1400〜1900m未満 125110.500
ダート1400〜1900m未満 10000.000
1900〜2200m未満 50220.400
2200〜2800m未満 50100.200
2800m以上 10000.000
芝コース通算266440.385 
ダートコース通算10000.000 
競馬場別実績
競馬場 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
京都72200.571
中京11001.000 2000高松宮記念
中山71120.286
阪神30110.333
東京92010.222
通算276440.370 

5代血統表
ダンシングブレーヴ
Dancing Brave
1983 鹿
Lyphard Northern Dancer Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
Goofed Court Martial Fair Trial
Instantaneous
Barra Formor
La Favorite
Navajo Princess Drone Sir Gaylord Turn-to
Somethingroyal
Cap and Bells Tom Fool
Ghazni
Olmec Pago Pago Matrice
Pompilia
Chocolate Beau Beau Max
Otra
グッバイヘイロー
Goodbye Halo
1985 栗
Halo Hail to Reason Turn-to Royal Charger
Source Sucree
Nothirdchance Blue Swords
Galla Colors
Cosmah Cosmic Bomb Pharamond
Banish Fear
Almahmoud Mahmoud
Arbitrator
Pound Foolish Sir Ivor Sir Gaylord Turn-to
Somethingroyal
Attica Mr.Trouble
Athenia
Squander Buckpasser Tom Fool
Busanda
Discipline Princequillo
Lady Be Good
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