メイヂヒカリ成績
1952/3/24生 1980/没
牡  鹿毛
父:クモハタ 母:シラハタ (by プリメロ)
生産者:三石・大塚牧場(JPN)
馬主:新田新作氏、新田松江氏
調教師:藤本冨良(東京)

・中央所属時成績
三歳時 4戦 4勝
四歳時10戦 7勝 菊花賞
五歳時 7戦 5勝 天皇賞・春 中山グランプリ
中央通算 21戦16勝
全通算 21戦16勝
[解 説]当Web siteでは漢数字の馬齢は旧年齢表記、算用数字の馬齢は満年齢表記
 メイヂヒカリは1952年三石・大塚牧場にて生まれた。父クモハタは戦後日本を支えた内国産種牡馬で顕彰馬に選定されている。母シラハタは現役時代30戦8勝。他の産駒としては鳴尾記念など10勝をあげたグレイトスタンがいる。このシラハタの5代母として下総御料牧場がイギリスから購入した名血ビューティフルドリーマーが名を連ねている。このビューティフルドリーマーの娘また孫娘にシアンモア、ダイオライト、プリメロと日本を代表する種牡馬を配合されたシラハタに、さらにクモハタを配合されたメイヂヒカリは、当時の内国産馬馬としては申し分ない血統といえ、小柄ながらも気品ある馬体で当歳時から評判であった。
 明治座社長新田新作氏の持ち馬として、東京藤本冨良厩舎に入厩したメイヂヒカリは三歳10月中山で蝦名武五郎騎手を鞍上にデビューして圧勝。その後連勝して挑んだ朝日杯三歳Sもケゴン以下に完勝。4戦全勝で三歳競馬を終えた。
 四歳時、中山のオープンを連勝して、押しも押されぬ1番人気で挑んだスプリングステークスはブービーの5着に惨敗。皐月賞1週前の追い切りで飛節内腫を発症し、春のクラシックは棒に振ることになった。皐月賞を勝ったケゴンにしろ、ダービーを圧勝したオートキツにしろ、すでに勝負つけの終わっている相手だけに悔いの残る故障であった。
 復帰初戦は9月東京のオープンで勝利。次の毎日王冠は2着に敗れたものの、オールカマーを手土産に西下。オープン1着を叩いて、万全で菊花賞に挑んだ。1番人気はダービーを8馬身差をつけて逃げきったオートキツ。メイヂヒカリは僅差の2番人気であった。メイヂヒカリは春の鬱憤を晴らすかのようにオートキツを10馬身差をつけて圧勝。溜飲を下げた。続いて阪神のオープンは64キロを克服して勝ったが、中山特別では最下位の6着に敗れた。メイヂヒカリは勝つときにはものすごく強いが、何故か時々コロリと負けることがあった。主戦の蝦名武五郎氏は「武田文吾師はコダマをカミソリ、シンザンをナタと表現されていたが、そういう感じからいえばメイヂヒカリは日本刀、それも古刀の斬れ味を持っていたのではあるまいか。よく斬れる反面脆いところがあった」というようなことを語っている。
 五歳は3月に西下しオープン1着を叩いて天皇賞に挑み、ウゲツ以下に完勝。当時天皇賞は優勝馬に再戦資格がなく、酷量に耐えて走るか引退するかしかなかった。しかし、この年末に中山でファン投票によって出走馬を決めるという画期的な「中山グランプリ」(現在の有馬記念)が開催されるというので、そこを目標に調整されることになった。特ハン、オープン、オールカマー、オープンを3着、1着、2着、1着でまとめ、中山グランプリに挑んだ。第1回中山グランプリはキタノオー(菊花賞)、ハクチカラ(ダービー)、ヘキラク(皐月賞)、ミツドフアーム(天皇賞)、ダイナナホウシュウ(皐月賞、菊花賞、天皇賞)らが出走し、その名にふさわしい豪華メンバーがそろった。その中でもメイヂヒカリは1番人気に推され、キタノオー以下を直線だけで引き離して日本レコードで引退の花道を飾った。
 翌年中山で史上初となる引退式を行い種牡馬生活に入った。クモハタの後継種牡馬として大きな期待を集めたメイヂヒカリではあったが、産駒に恵まれず1976年に引退、1980年繋養先の藤吉牧場でこの世を去った。ただし母の父として牝馬ながら天皇賞と有馬記念を連覇したトウメイを出してはいる。1990年、競馬評論家大川慶次郎氏の強力な推薦により、顕彰馬に選定されている。
 このメイヂヒカリと同程度の競走実績と繁殖成績を持つ馬は、それほど珍しくない。それでも顕彰馬に選ばれたのは、記念すべき第1回中山グランプリに勝ったということと、内国産の結晶ともいうべき血統と、強さと気品を兼ね備えた希有なサラブレッドであることを裏付ける数々の記憶と記録が存在するからであろう。メイヂヒカリは生涯に5度負けているがそのうち3度が万馬券であることが、この馬の強さと人気の高さを物語っている。やはりメイヂヒカリは幻の三冠馬の中でも傑出した存在であるといえる。
2001年1月4日筆
競走成績
日付 競馬場 競走名 距離 馬場 頭数 人気 着順 時計 騎手 斤量 1着馬(2着馬)
1954/10/23 中山 新馬 1000 4 1 1 1:01.1 蛯名武五郎 51.5 (ローズアニタ)
1954/11/7 中山 三歳優勝 1100 7 2 1 1:05.4 蛯名武五郎 51 (イチモンジ)
1954/12/4 中山 オープン 1100 14 3 1 1:07.2 蛯名武五郎 53 (ケゴン)
1954/12/12 中山 朝日杯三歳ステークス 1100 17 1 1 1:07.3 蛯名武五郎 52 (ケゴン)
1955/1/8 中山 オープン 1100 5 1 1 1:06.2 蛯名武五郎 55 (タカクイン)
1955/3/12 中山 オープン 1800 5 1 1 1:52.3 蛯名武五郎 57 (イチモンジ)
1955/3/27 東京 スプリングステークス 1600 6 1 5 --- 蛯名武五郎 54 ナンシーシヤイン
1955/9/17 東京 オープン 1600 11 2 1 R1:37.2 蛯名武五郎 58 (ヨシフサ)
1955/10/2 中山 毎日王冠 2600 7 1 2 --- 蛯名武五郎 54 サスケハナ
1955/10/16 中山 オールカマー 2000 11 1 1 2:04.0 蛯名武五郎 58 (カネエイカン)
1955/11/13 京都 オープン 1800 5 1 1 1:52.0 蛯名武五郎 58 (ケンシュン)
1955/11/23 京都 菊花賞 3000 7 2 1 3:09.1 蛯名武五郎 57 (オートキツ)
1955/12/3 阪神 オープン 1800 9 1 1 1:57.0 藤本勝彦 64 (ムツリユウ)
1955/12/25 中山 中山特別 2400 6 1 6 --- 蛯名武五郎 61 ヒデホマレ
1956/3/31 京都 オープン 2000 5 1 1 2:09.1 蛯名武五郎 60 (オールマイティ)
1956/4/15 京都 天皇賞・春 3200 13 1 1 3:22.3 蛯名武五郎 58 (ウゲツ)
1956/5/20 東京 A特ハン 1800 5 1 3 --- 蛯名武五郎 64 ブレツシング
1956/10/6 東京 オープン 1600 7 1 1 1:40.2 蛯名武五郎 54 (トヨタニ)
1956/11/11 中山 オールカマー 2000 11 1 2 2:10.4 蛯名武五郎 62 トヨタニ
1956/12/8 東京 オープン 1800 5 1 1 1:53.1 蛯名武五郎 57 (フアイナルスコア)
1956/12/23 中山 中山グランプリ 2600 12 1 1 R2:43.1 蛯名武五郎 55 (キタノオー)
距離別実績
距離区分 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
1400m未満 55001.000
1400〜1900m未満 86010.750
1900〜2200m未満 32101.000
2200〜2800m未満 31100.667 1956中山グランプリ
2800m以上 22001.000 1956天皇賞・春 1955菊花賞
芝コース通算2116210.857 
競馬場別実績
競馬場 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
京都44001.000 1955菊花賞 1956天皇賞・春
中山118200.909 1956中山グランプリ
阪神11001.000
東京53010.600
通算2116210.857 

5代血統表
クモハタ
1936 栗
トウルヌソル Gainsborough Bayardo Bay Ronald
Galicia
Rosedrop St.Frusquin
Rosaline
Soliste Prince William Bill of Portland
La Vierge
Sees Chesterfield
La Goulue
星旗 Gnome Whisk Broom Broomstick
Audience
Faiery Sprite Voter
Cinderella
Tuscan Maiden Maiden Erlegh Polymelus
Plum Tart
Tuscan Red William Rufus
Fine Feathers
シラハタ
1945 黒鹿
プリメロ Blandford Swynford John o'Gaunt
Canterbury Pilgrim
Blanche White Eagle
Black Cherry
Athasi Farasi Desmond
Molly Morgan
Athgreany Galloping Simon
Fairyland
第四バッカナムビューチー ダイオライト Diophon Grand Parade
Donnetta
Needle Rock Rock Sand
Needlepoint
バッカナムビューチー シアンモア Buchan
Orlass
第三ビューチフルドリーマー インタグリオー
ビューチフルドリーマー
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