ナリタブライアン成績
ナリタブライアンの画像
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1991/5/3生 1998/9/27没
牡  黒鹿毛
父:ブライアンズタイム 母:パシフィカス (by Northern Dancer)
生産者:新冠・早田牧場新冠支場(JPN)
馬主:山路秀則氏
調教師:大久保正陽(栗東)

・中央所属時成績
三歳時 7戦 4勝 朝日杯三歳ステークス
四歳時 7戦 6勝 皐月賞 東京優駿 菊花賞 有馬記念
五歳時 4戦 1勝
六歳時 3戦 1勝
中央通算 21戦12勝
全通算 21戦12勝
[解 説]当Web siteでは漢数字の馬齢は旧年齢表記、算用数字の馬齢は満年齢表記
 ナリタブライアンは1991年北海道新冠早田牧場で生まれた。父ブライアンズタイムはアメリカ産で21戦5勝。主な勝ち鞍としてはフロリダダービーとペガサスHがある。早田牧場が種牡馬として日本に輸入されてから大一番で底力のある血統として成功し、このナリタブライアンの他菊花賞、有馬記念、宝塚記念、天皇賞・春を制したマヤノトップガン、皐月賞、ダービーを勝ったサニーブライアン、桜花賞のファレノプシス、オークスのチョウカイキャロル、有馬記念のシルクジャスティスを出している。母パシフィカスの父はノーザンダンサーで世界的成功を収めた大種牡馬であることは説明不要であろう。パシフィカスがアメリカに繁養されているときにシャルードと配合されて、その後日本で生まれたのが1歳上の菊花賞馬ビワハヤヒデである。
 山路秀則氏の持ち馬として栗東の大久保正陽厩舎に預けられたナリタブライアンは南井騎手を鞍上に函館でデビュー。ここは敗れたが次の新馬戦で勝利する。函館三歳S6着、福島で1走後、京都のデイリー杯三歳Sから中1週で京都3歳Sに出走する強行軍。ここを勝利してこの年の三歳馬の主役へと名乗りを上げた。この頃大久保師はこの馬の素質を見抜いていたのに対して、ファンの評価はその年クラシックを賑わせていた兄ビワハヤヒデの弟でしかなかったのである。またこのレースでその後この馬のトレードマークとなるシャドウロールが初めて付けられた。続く朝日杯三歳ステークスでは1番人気に支持され危なげなく完勝。7戦3勝で最優秀三歳牡馬に選ばれた。
 四歳は共同通信杯から始動。これを快勝し、続くスプリングステークスも完勝。皐月賞では圧倒的1番人気に支持された。1番枠から飛びだしたブライアンはサクラスーパーオーに3馬身半差をつけて圧勝。1分59秒0は皐月賞レコードというだけでなく、コースレコードをコンマ5秒短縮する破格の時計であった。そして圧倒的1番人気に推されたダービーでも終始外を回りながらエアダブリン以下に5馬身差をつけて圧勝。他馬との能力の違いを見せつけた。夏を函館で過ごしたブライアンはこの年日本列島を襲った記録的な猛暑のせいで調整が遅れ、阪神の京都新聞杯にようやく間にあった。1番人気に支持されたが、いまいち弱気な関係者のコメントどおりにスターマンの2着に敗れた。しかしこのレースで気合は一変、本番の菊花賞では1番人気に支持され、3コーナーから徐々に進出するとヤシマソブリン以下に7馬身差のレコードで圧勝。史上5頭目、平成になってから初の三冠馬が誕生した。次の有馬記念で古馬初対決。ビワハヤヒデとの兄弟対決は実現しなかったのが残念であったが、前年の菊花賞馬ライスシャワー、最強の四歳牝馬ヒシアマゾンらが出走し、当然の1番人気に支持された。レースは三冠レースと同様に3コーナーで仕掛けて直線で突き離す問答無用のレース振りでヒシアマゾンに3馬身半差をつけて圧勝。古馬相手でもまったく問題なかった。この圧倒的な強さで年度代表馬に選ばれた。
 明けて五歳阪神大賞典を圧勝して、天皇賞をめざしたが、股関節を痛め出走を回避、長い休養に入る。復帰は天皇賞・秋となった。故障中の主戦南井騎手に変わって的場騎手を鞍上に迎え、実績で1番人気に推されたものの、サクラチトセオーの12着と目を覆いたくなるような完敗。続くジャパンカップも武豊騎手に乗りかわったもののランドの6着、有馬記念でもマヤノトップガンの4着と敗れ、復活を願うファンを落胆させた。直線手前いいところまであがって来るのに伸び切れない。あの強かったナリタブライアンはもう終わってしまったのかと思わせた。
 六歳初戦は昨年と同じ阪神大賞典。しかしここには昨年の年度代表馬マヤノトップガンが出走してきた。レースはこの2頭の史上に残るマッチレースとなり、ブライアンがトップガンを首の差しのいだところがゴールであった。よみがえったブライアンは負傷癒えた南井騎手を鞍上に天皇賞・春に出走。直線力強く抜け出したブライアンだが、同期の遅れてきた大物サクラローレル交わされ2着。宝塚記念を目指すはずのブライアンだが、何故か高松宮杯に出走。いきなりの短距離戦に戸惑いもあってか、フラワーパークの4着に敗れた。その後故障が判明し現役を断念。四歳時には想像もしないさびしい引退であった。
 大きな期待を集めて順風満帆の種牡馬生活であったが、2年目の1998年夏、腸捻転で永眠した。あまりにも早逝したため、産駒は僅か2世代のしか残せなかった。産駒に重賞勝ち馬はおらず、GI路線ではダイタクフラッグが皐月賞で4着したに留まった。サラブレッドのもうひとつの使命である後継種牡馬は輩出できなかった。母の父としてはオールアズワンが札幌2歳Sを勝った。今後は娘からその血を残ることを期待するしかない状況である。
 古馬になってからのG1勝ち星がなく、この点で他の三冠馬に劣るとはいえ、あの四歳時で見せた他馬を子供扱いする強さは搭載エンジンが違うとしか思えない空前のものであり、3馬身、5馬身、7馬身と走るたびに着差を広げていった三冠レースの内容は他の三冠馬を凌駕する輝かしいものである。産駒が2世代しか残らなかったのは残念だが、その強さは永久に語り継がれることだろう。
2001年3月8日筆
2022年4月4日加筆
競走成績
日付 競馬場 競走名 距離 馬場 頭数 人気 着順 時計 騎手 斤量 馬体重 1着馬(2着馬)
1993/8/15 函館 新馬 1200 8 2 2 1:13.7 南井克巳 53 456 ロングユニコーン
1993/8/29 函館 新馬 1200 9 1 1 1:12.8 南井克巳 53 458 (ジンライ)
1993/9/26 函館 函館三歳ステークス(G3) 1200 9 2 6 1:14.9 南井克巳 53 454 マリーゴッド
1993/10/24 福島 きんもくせい特別 1700 8 1 1 1:43.1 清水英次 53 460 (ランセット)
1993/11/6 京都 デイリー杯三歳ステークス(G2) 1400 15 2 3 1:22.7 南井克巳 54 448 ボディーガード
1993/11/21 京都 京都三歳ステークス 1800 8 1 1 R1:47.8 南井克巳 55 452 (テイエムイナズマ)
1993/12/12 中山 朝日杯三歳ステークス(G1) 1600 14 1 1 1:34.4 南井克巳 54 456 (フィールドボンバー)
1994/2/14 東京 共同通信杯四歳ステークス(G3) 1800 10 1 1 1:47.5 南井克巳 57 462 (アイネスサウザー)
1994/3/27 中山 スプリングステークス(G2) 1800 10 1 1 1:49.1 南井克巳 56 460 (フジノマッケンオー)
1994/4/17 中山 皐月賞(G1) 2000 18 1 1 R1:59.0 南井克巳 57 460 (サクラスーパーオー)
1994/5/29 東京 東京優駿(G1) 2400 18 1 1 2:25.7 南井克巳 57 468 (エアダブリン)
1994/10/16 阪神 京都新聞杯(G2) 2200 10 1 2 2:12.2 南井克巳 57 470 スターマン
1994/11/6 京都 菊花賞(G1) 3000 15 1 1 R3:04.6 南井克巳 57 470 (ヤシマソブリン)
1994/12/25 中山 有馬記念(G1) 2500 13 1 1 2:32.2 南井克巳 55 476 (ヒシアマゾン)
1995/3/12 阪神 阪神大賞典(G2) 3000 11 1 1 3:08.2 南井克巳 58 472 (ハギノリアルキング)
1995/10/29 東京 天皇賞・秋(G1) 2000 17 1 12 1:59.4 的場均 58 466 サクラチトセオー
1995/11/26 東京 ジャパンカップ【GI】 2400 14 1 6 2:25.3 武豊 57 468 ランド
1995/12/24 中山 有馬記念(G1) 2500 12 2 4 2:34.1 武豊 57 478 マヤノトップガン
1996/3/9 阪神 阪神大賞典(G2) 3000 10 2 1 3:04.9 武豊 59 486 (マヤノトップガン)
1996/4/21 京都 天皇賞・春(G1) 3200 16 1 2 3:18.2 南井克巳 58 478 サクラローレル
1996/5/19 中京 高松宮杯(G1) 1200 13 2 4 1:08.2 武豊 57 478 フラワーパーク
距離別実績
距離区分 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
1400m未満 41100.500
1400〜1900m未満 65010.833 1993朝日杯三歳ステークス
1900〜2200m未満 21000.500 1994皐月賞
2200〜2800m未満 52100.600 1994有馬記念 1994東京優駿
2800m以上 43101.000 1994菊花賞
芝コース通算2112310.714 
競馬場別実績
競馬場 1着 2着 3着 連対率 主な勝鞍
京都42110.750 1994菊花賞
中京10000.000
中山54000.800 1993朝日杯三歳ステークス 1994皐月賞 1994有馬記念
阪神32101.000
福島11001.000
東京42000.500 1994東京優駿
函館31100.667
通算2112310.714 

5代血統表
ブライアンズタイム
Brian's Time
1985 黒鹿
Roberto Hail to Reason Turn-to Royal Charger
Source Sucree
Nothirdchance Blue Swords
Galla Colors
Bramalea Nashua Nasrullah
Segula
Rarelea Bull Lea
Bleebok
Kelley's Day Graustark Ribot Tenerani
Romanella
Flower Bowl Alibhai
Flower Bed
Golden Trail Hasty Road Roman
Traffic Court
Sunny Vale Eight Thirty
Sun Mixa
パシフィカス
Pacificus
1981 鹿
Northern Dancer Nearctic Nearco Pharos
Nogara
Lady Angela Hyperion
Sister Sarah
Natalma Native Dancer Polynesian
Geisha
Almahmoud Mahmoud
Arbitrator
Pacific Princess Damascus Sword Dancer Sunglow
Highland Fling
Kerala My Babu
Blade of Time
Fiji Acropolis Donatello
Aurora
Rififi Mossborough
Khanum
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